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    恋してる

    早いもので丸5年である。

    2006年が明けて間もなく出会って、10月はじめに上下巻2冊の本になった。あれよあれよという間にミリオンになって、翌年映画化もされた。まあ、よくある話と言えばよくある話。でも身近にはそうそうあるもんでもない。

    そこに至るまで、語り尽くせぬ思い出がある。それを改めて噛みしめる節目の5年。

    物語は「空に…恋してるんだ。」という一節で結んでいるが、当時そんな物語に恋していた。

    いまだに恋している自分がいる。
    • 2011年10月27日 | 
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    中秋の名月

    souma01.jpg


    被災地で見る中秋の名月に胸が締め付けられる思いがした。

    3度目の南相馬へのボランティアとなった昨日、7月の2度の訪問で原町第二中学避難所にてお世話になった高橋誠校長を相馬市に尋ねた。震災で当時勤めていた学校をまるごと流され避難所を世話していた校長は、8月から相馬市の飯豊小学校に着任したという話を聞いていた。

    相馬の被害も見て欲しいと、案内してくれることになった。相馬の松川浦や太平洋の湾岸、そしてその周囲に広がる広大な平野を臨める高台に向かう。校長が示すはるか先には、ところどころが決壊した堤防が、おそらく1km近く左右に広がり、筒抜けになった堤防の合間から白い波が見える。本来見えるはずのなかった白波。

    その手前には、海岸線に沿うように美しい松並木が連なっていたのだというが、その名残は松川浦側に松の木がわずか数本残るのみ。すでに一帯は一面が広大な荒野となっている。海岸沿いに民宿が集まっていたことも、その手前に街が存在していたことも、まったく頭に思い浮かべることはできない。まったくのまっさらな荒野。

    過去に三陸沖地震やチリ地震による津波の経験値のある三陸と違い、大きな津波被害の歴史を持たぬ相馬。それでもしっかりと備え、築かれていた堤防、そして松並木。でも、想像をはるかに超えた今回の自然の脅威には、あまりにもちっぽけ過ぎる存在だった。

    souma02.jpg


    車を走らせ、海岸へと向かう。先ほど遠方に見えた堤防のすぐ近くまで訪れる。おそらく海の際から2、300m。そこには、かつて校長が勤めていた相馬海浜自然の家があった。校舎こそその形状を確認できるが、その中身はすっかり波にされわれている。その横には、建物ごと持っていかれてしまった体育館。辛うじて残る土台には、カラフルなラインが引かれた板張り床のコート。その上に立つと、そこで球技に勤しんでいた子供たちの姿がふと頭をよぎる。

    souma04.jpg


    震災当時、海と目と鼻の先の校舎にいた校長は、30分後に訪れる津波を予想して速やかに避難し助かった。幸いにも、すべての子供たちも津波の餌食になることはなかった。それでも、その後訪れた変わり果てた職場の成れの果てには言葉が出なかったという。校舎の屋上は松の木に貫かれ、軽トラックなど数台の車が校舎つきささっていた。傍らには新車だったはずのインサイトが、どうしたらこんな形に圧縮されるのかという形状で横たわっていたという。

    souma03.jpg


    噛み締めるように当時を語ってくれる校長の目は、心なしか潤んでいるようにも見える。「思い出すのは辛いけど、口にしておかなければならないんです」と話してくれた。悲しさと悔しさを滲ませる校長の表情を見ると、かける言葉も慎重になってしまう。それでも、もっともっと話を聞きたいし、聞かなければならないんだと思う。今度は話を聞くためだけにお邪魔させて欲しいと申し出た。

    実は、自分の行きつけの寿司屋の大将が相馬出身。そんな大将の願いもあって、今回のボランティアに大将の娘さんに手伝ってもらった。帰りに聞いたところ、幼い頃にこの松並木の海岸に家族で来た記憶があるという。まともには見れなかったが、現場では俯いて涙を浮かべていたように感じていた。幼少期の話を後から聞いて、それが確信に変わった。

    souma05.jpg


    写真は、校長に案内された相馬海浜自然の家の前から見た中秋の名月だ。決壊した防波堤の彼方の水平線から、月のうちでもっとも丸く、日本人にとって一年のうちでもっとも思いの募る月が昇り始めていた。高橋校長、寿司屋の娘、大将、そして今回相馬にお邪魔したメンバーそれぞれの気持ちが、月夜に複雑に交錯した。
    • 2011年09月13日 | 
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    瓦礫の中の生命力

    suica01ishinomaki.jpg

    石巻の門脇小学校前の瓦礫の中で、西瓜がすくすくと育っているのを見つけた。この地を訪れるのは4回目。復興にはまだほど遠いけど、なんとなくの希望を感じた。町中だって瓦礫の中だって生きていける、生きていかねばならぬ生命の力強さを突きつけられ、ハッとした。

    5月頭に初めて福島・二本松の避難所に炊き出しで赴いてから3ヶ月半。宮城県の石巻、雄勝、女川、名取、そして福島県の南相馬に足を運び、被災地に足を踏み入れるのも、延べ10日以上を数えることとなった。10日という日数をどう考えるかは人それぞれだろうが、個人的な感覚としては、まだまだという感じ。足りない。

    当初から漠然と10年くらいはつきあいたい考えている。とするとまだまだ序章、号砲が鳴ったばかり。長い戦いになる。でも、こんな小さな生命の息吹を目の当たりにすると、少しずつでもいいんだ、ともに一歩一歩歩んでいこうと、思わせてくれる。
    • 2011年08月24日 | 
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    出身地

    昔から、「出身地はどこか?」と聞かれてずいぶん困った。

    生まれたのは大阪だけど、2歳で東京に引っ越して、その後、神奈川を経て千葉へと住まいが移った。でも、本籍は生まれてから結婚するまで(実は昔、そんな時期もあった)ずっと両親の出身である大分。今は本籍も住まいも東京である。ちなみに現在の実家は千葉のまま。

    心情的には、生まれた大阪が出身なんじゃないかという気持ちが強かったけど、親からは本籍地を言うんだと教えられてきたし(住んだことのない自分としては、大いに違和感がある)、かと思えば、国土交通省の示す定義では「15歳くらいまでで最も長く住んでいた場所」なのだそうで、そうなると神奈川ということになる。さらには、その定義を勝手に20歳とかに広げると千葉になったりするわけで、まったくわけがわからない。

    なんだか根無し草だなあ、とも思うけど、気がつくと、今住む目白が「人生の中で最も長く住んだ場所」に並びつつあって、ようやくどっしり根付いて来た自分に安定感を感じていたりもする今日この頃。って、年とった証拠か…。
    • 2011年08月01日 | 
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    ランニングなう

    体が資本。わかっていることなのだけど、なかなかそこへのケアにまで手が回らない、というより踏み出せない。後回しにしがちであった。でも、意を決して一歩踏み出し、ランニングを始めてみることにした。twitter上で、複数のフォロワーが「ランニングなう」とかつぶやいている(実際はそんなベタな言い方はしてないけれども)のがTL(タイムライン)上に毎日現れるのを見て、触発された。先の東京マラソンに何人かの知人が挑戦し、完走したことに刺激を受けていたのも事実。

    ひとまず、5km走ってみようと思った。いきなり5kmという距離に不安がなかったわけではないが、まあ、しんどければ歩けばいい。そんな気持ちでコースを設定してみる。山手通りから目白通りに入って都心部へ向かい、目白駅を越えて千歳橋で明治通りに合流して池袋へ。東口から西口へ抜けるびっくりガードをくぐり、そのまま直進して立教大学の裏手に開通したばかりの新道(個人的に、「裏セントポール通り」と呼んでいるのだが、まず定着しないだろうw)に入り、山手通りにぶち当たるまで進む。山手通りを左折。そのまま椎名町陸橋を越えてゴールというコース。

    ほとんど信号の影響も受けず、概ねなだらかだけど適度に起伏もあって結果的に比較的よいコースだったと思う。息が続くか不安もあったけど、ゆっくり35分ほどかけて、まったく歩くことなくフルで走り切れた。ランニングを始めた人の多くが、膝にくるからウォーキングから始めたなんて言うもんだから、膝への影響も不安材料だったけど、これはまったく問題なし。股関節が少々きしむ感じがあるのと、なぜか左上腕二頭筋がダメージを受けているくらい。どういう力の入れ方をしたらこの部位が傷むのかまったくもって謎なのだが、ひとまずちからこぶが結構痛い。あとはおそらく明日か明後日に筋肉痛に見舞われるのかもしれない。走っている際に若干ふくらはぎが張っていたから、来るとしたらそのあたりか?

    問題は今後継続していけるかどうか。いきなり5kmを走り切ってハードルをあげてしまった気もするけど、体調に応じて歩きを混ぜりゃあいいわけだし、距離の短縮を素直に受け容れればいいのだろう。これもまた、続けることが肝要だ。どうやら梅雨入りが近づいているようで、継続する上でのひとつの不安要素ではあるけれど、blogで、そしてtwitterで公にしてしまうことで、逃れられないよう、自らを追い込む戦法だ。毎日欠かさず、「ランニングなう」ってつぶやいている未来の自分に、大いに期待を寄せている。
    • 2011年05月26日 | 
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    ■プロフィール

    Author:伊東寿朗
    『恋空』、『赤い糸』などケータイ小説のムーブメントに深く関った経験を活かし、ジャンルを超えた企画に取り組む。著書に『ケータイ小説活字革命論』など。一部で“伊東おんせん”の名で通るが、伊東温泉と特別な関係があるわけではない。

    >>オフィシャルサイト

    Toshiaki Ito

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