月の涙

驚いたことに、1年半ぶりの投稿だ。いや、驚く話でもない。さぼってただけだろう。ブログ名に「日報」を掲げながら「週報」「月報」にすらなっていない、もはや「年報」だ、などと書いたことがあるが、それさえも言えなくなってきた。名前変えるべきかか…。
前置きはさておき、久々の記事は、お仕事の話。しかも、わりとわかりやすい仕事の話だ。普段、どんな仕事してるのかと聞かれたとき、ほぼまともに答えられなかったりするのだが、今回は答えやすい象徴的なお仕事。出版系。
集英社のケータイ小説レーベル「ピンキー文庫」から、『月の涙 ~この想いを、キミに。』という小説が発売された。これに関わった。
著者は、百音(もね)というケータイ小説家。かつて、『永遠の夢』という作品で、トーハンの上半期文芸ランキングでトップ10入りした書き手。本作が、4作目の作品になる。
もう7、8年前のことになるから一昔前の話なのだが、世間的に「ケータイ小説」がちょっとしたブームになった時期がある。上下巻で200万部を記録した『恋空』を筆頭に、ベストセラーの作品が次々にケータイの世界から世に出た。発信源は、当時所属していた会社、株式会社魔法のiらんど(現在は株式会社KADOKAWAの一部門)の同名ケータイサイト「魔法のiらんど」。出す本出す本が、ことごとくベストセラーになった。その渦中にいた。
今回の著者は、当時ご縁ができたケータイ小説家のひとりだ。後に、集英社がピンキー文庫を創刊する際、3タイトルの創刊ラインナップのひとつとして彼女の新作が発売されることになり、タッグを組んでサポートすることになった。立ち位置は、「出版エージェント」「著者マネジメント」。日本ではあまりなじみがないのだが、作家の代理人。出版社との間に入って、調整、交渉する仕事だ。
実は、かつてのケータイ小説ブームの最中、魔法のiらんど時代にやっていたことも、そんなに相違はなかった。ただ、著者の側に立っているように見えて、最終的にはサイト(を運営する会社)の利益を最優先せざるを得ない矛盾に、しっくりきていない自分がいた。フリーに転身したのもそのあたりの要素が少なからずある。
現在の著者とのタッグは、当時思い描いていた理想型を具現化している。ベストセラーをがつがつと量産する世界ではないが、無理のない範囲で世の中に出ていく。商売人しては失格かも知れないが、商売に走って漁場を乱獲することはしたくない。こぢんまりと地味にやっているからこそ、できる状況でもある。背負うものがないから、肩肘張らずできる。
さて、今回発売された『月の涙』だが、手前味噌ながらなかなかの良作だと思う。系統で分類すると、いわゆる「号泣系」。いわゆる初期の「ケータイ小説」の王道、原点回帰とも言える。このところ、ケータイ小説のターゲットもかつての中高生中心から低年齢化し、小学校高学年あたりの層が厚いというが、そのあたりのお年頃の娘さんを持つ親御さんにもお勧めしやすい作品だ。爆発的でなくてもいい。じわじわ広がってくれるといいなあ、と思う。
月の涙 ~この想いを、キミに。~ (ピンキー文庫)
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御節に思う

ふだん休日とそうでない日の境目があまりない生活を送っているが、さすがにお正月はそれなりの節目を考えた過ごし方になる。儀式とでも言いたいかのように、きちんと出汁を取ってお雑煮を作ることを10年以上続けているが、ここ数年はちゃんとした御節を仕立てるのが、自分の中でのもうひとつのセレモニーだ。
このタイミングでしか作らない献立ばかりだけど、いや、だからなのかもしれないが、それなりに手間をかけて毎回毎回バージョンアップしていく。前回は既製品で済ませた伊達巻きが今年から自作に加わった。重箱を揃えて、詰めてみたりもした。我ながら、なかなかいい線いっている。
初めて千葉の片田舎にある実家に持参して、年老いた両親に振る舞った。いくつになっても心配ばかりかける不肖の息子だが、ふだんは身体のことを考えて1缶をふたりで分け合って飲んでいるというビールを、それぞれ2本ずつあけて喜びを表してくれたことが何気に嬉しい。「今日は特別」だとかで。こんなことで、これまでこしらえてきた親不孝の穴の数々を埋め合わせられるとは思わないが、こういうささやかな積み重ねがきっと重要なんだとしみじみ感じた。
年賀

「日報」を謳っておきながら、「月報」にすらなっていないという。先月は、前半「週報」に近づいたけど、後半失速気味。年が変わって、もっと真面目にペースあげてマメにいきます。なんて、言うつもりはないけれど、まあ、ぼちぼちやっていこう。
ゆるりと、お願いしたく候。気づくと「にょろっ。」と突き抜けてた、そんなくらいが、理想的。
東北に足を運んで50日

写真は、今週月曜日(12/17)、福島・相馬市立飯豊幼稚園での、はっぴーらんちぷろじぇくとの活動のひとコマ。クリスマス仕様の文化活動とランチを、子どもたちの笑顔、元気と交換し、夜は泊まりがけで先生方と交流。有意義な2012年の活動の締めくくりとなった。
実は、指折り数えてみると、震災後に継続してきた東北での活動において、ちょうど実働日数50日目の節目だった。少しばかり感慨深い。周囲は、「頑張って続けているね」「偉いね」と声をかけてくれる。好きで続けているわけで、偉いのとは違うとも思うけど、それはそれでありがたいことだし、励みにもなる。でも一方で、これまでよりこれから、と自戒する。50日はあくまでも節目のひとつであり、通過点。
iPS細胞の開発でノーベル医学・生理学賞を授賞した山中伸弥京都大学教授による、「ノーベル賞は自分にとって既に過去形」とのコメント。賞に値するこれまでの基礎研究の実績には浸らず、これからの応用の研究へと目が向いている。カッコいいなあって思った。
で、50日の節目を、山中教授の姿勢に重ね合わせた。レベルはあまりに違いすぎるけど。
支援というステイタスは、自分の中では既に完全に脱していて、これからどれだけ、これまで東北で出会った友人たちと互いに寄り添えるかにテーマはソフトしている。長くなるであろう友達づきあいは、まだ始まったばかり。
タツノコの落とし子たち

ガッチャマンだったり、タイムボカンだったり、ヤッターマンだったり、ハクション大魔王だったり、みなしごハッチだったり、キャシャーンだったり、けろっこデメタンだったり、マッハGoGoGoだったり、樫の木モックだったり……。
幼い時分に慣れ親しんだアニメーションを世に送り出したタツノコプロの元社長、九里一平(クリ・イッペイ)さんの作品集
秋に東京都現代美術館で開催されていた「特撮博物館」の客層を考えると、若い世代でもイケるかもしれない。手に取って欲しいな。何せ良い出来だから。
昨晩、池袋の東武百貨店に入っている旭屋書店で久里氏のサイン会が開かれると後輩から聞いて、フラッと覗きに行ってきた。なかなかの盛況ぶり。外人のお客さん数人も列に並んでいたりして、「cool japan」のパワーをまざまざと見せつけられたり…。
ちなみに、僕もしっかりサインいただきました。名前入りで。